Essay/Column/Diary
シトロエンDS20に乗った・・・ゾ
そんな中、この3月に富士スピードウェイに向かう道すがら、国道246号で、あのシトロエンDSに出会った。左側車線を走っていたので「懐かしいなぁ」と思いつつ抜いて行ったのだが、スピードウェイに着いて暫くすると、私の車の横に、その車が停まっていた。「なんだ、知り合いの車か」と探すと、服部尚貴選手の車だった。
服部選手に乗せて欲しいと言うと、快く応じてくれた。
てっきりキーを渡してもらうものと思ったら、一緒に車の所に行き、色々説明してくれた。そして、運転席に座り操作系の説明を聞くと、これは、いきなり一人では運転することが出来ない車なのだと悟った。だから、服部選手が助手席に乗り、色々教える為に一緒に来てくれたのである。
オートマでは無いのにクラッチが無い。サイドブレーキが判らない。コラムのシフトは前後左右に、コの字型にシフトしていく。ブレーキは床から生えたボタンのようなものを踏む等々、とにかく、初めて乗るには違和感の塊だ。
服部選手の指示に従い、ソロソロと走り始めた。向こう側の1速から、手前の2速にシフトする、ガクン。
「あっ、アクセルは離してからシフトを、踏んだままだとクラッチが切れていないので」
「あー、なるほど」
といった具合で、これは手強い。
ハイドロサスが完全ではないのでショックの吸収がいまいち・・・というのだが、今はそれ以前の話。まずは上手く走らせなくては。
ブレーキボタンを踏んでみるが、これは見かけとは裏腹に普通に効いた。
先程、走る前にリアシートに座ったが、驚くほど柔らかいシートで体が沈み込む。どこかの威厳あるホテルのロビーにでもありそうな、何とも言えない気持ち良さだった。
走り出して、車を操作することに気遣うものの、それでも乗っていることの気持ち良さは何とも言えない、まるで別世界の空間に居る感じが何とも良い。
この味わいあるゆったり感、飛ばして走ろうなどとは思わないし、独特の操作も、慣れればきっとスムーズに車を走らせられそうだが、服部選手曰く、この操作のむつかしい車を、事も無げにスムーズに走らせることが粋なのだと。
なるほど、納得。
技術的にも先進の車だと知った。シトロエンDSはシャルル・ドゴールが好んで大統領専用車にしていたことも有名な話で、つまり高級車/大型車というイメージを持っていたのだが、このDS20は大きく見えるボディながらもエンジンは2リッター、車重は1.2tしかないとのこと。何故そんなに軽いのかというとボンネットはアルミ製であり、ルーフは何とFRP(ファイバーグラス強化プラスティック)製とのこと。1955年に発表された車なのに、FRPを量産車、それもセダンに使ったのであるから驚きである。(因みに、FRPボディのロータスエリートは1957年の発表、同様のルーフ構造を持つスバル360は1958年の発表)
他では見ることの無い独創的なデザインのDSは、独創的なハイドロサスを装備し、独創的な車体構造を採用し、そして、独創的な操作系を持つ。
そこから独特の、何とも気持の良い乗り味を生み出しているのであるから、真に魅力に満ちた車である。
因みに、この車はDS21では無く、日本国内では販売の無かったDS20で、わざわざ輸入したとのこと、やりますねー。


