Essay/Column/Diary

そごう心斎橋本店の閉店を惜しむ

|
そこう地蔵JPEG.jpg

ここは何処?
まあ、タイトルに書いてあるから察しがつくと思うが、そう、これは「そごう心斎橋本店」つまりデパートの中である。
どこもかしこも、とても綺麗なデパートだが、ただ、普通のデパートと違って、写真にあるようにテーマパークのような街並みを配したり、劇場もあれば、屋上に庭園があったりと、都心にあって何かほっとする作りが好きだった。
しかし、この8月31日をもって閉店してしまう。
素晴らしい作りのデパートだっただけに誠に残念である。

現在の「そごう心斎橋本店」は2005年に新装開店されたもので“なにわ遊覧百貨店”なるキャッチコピーのとおり、色々趣向を凝らした作りで、建築物として素晴らしいと思っていたが、アメリカの店舗デザインの専門誌が主催する国際店舗デザインコンテストの総合百貨店部門で1位となっていたらしい。

屋上2.JPG

上の階から見てみると。
まず、屋上には庭園が作られ、オリーブやオレンシの木々が植えられている。床はフローリングとタイル張りでコンクリートの無機質さを消している。日陰のベンチでは都心のオアシスのように人々が休む姿が見られた。
14階は「そごう劇場」があり、音楽会や催しものが諸々あるようだが行かず終い。
13階はレストラン階で、それぞれ個性のある作りの店が並ぶ。

そごう専門店街JPEG.jpg

そして、12階と11階は専門店街だが、最初の写真のテーマパーク風の作りで、古い街並みを模した各店舗だが、趣味、嗜好性の高い本物の良い店が入っている。
そしてフロアの真ん中は、そこから上、4階分を吹き抜けとし、大きなガラスを配して水を流した滝と、その前に休憩スペース置くなど、素晴らしい空間が作られている。
下の階から上がってくると、この11~14階は別世界に入る思いで、建築デザインの妙を見る感じがした。

ブランドショップ.JPG

10階~3階は、いわゆる普通のデパートだ。
そして、2階と1階は高級ブランドショップで、とても綺麗な店が並び、その高級な作りは圧巻だが、この入口階をブランドショップとするやり方は、今や多くのデパートでの一般的なレイアウトにもなりつつある。

先日も全国デパートの売上が連続10数ケ月ダウン、とかの文字が新聞に躍る。「そごう」に限らずデパートはどこも大変なんだ。
確かに、昔と違ってデパートの立ち位置はむつかしいところにきてしまったと思う。
昔は百貨店と言うくらいだから、街中の個々の店舗より色々なものを売っているので百貨店に行くのが便利だし、家族で行くこと自体が行楽だった。そうだ、私にとっても子供の頃、デパートに行き、食堂でホットケーキを食べさせてもらうのが、とても楽しみだった。
でも今は、そうした楽しみは、スーパーマーケットやショッピングセンター、あるいはアウトレットにお株を奪われてしまった。よってデパートは高級志向に行くしか無かったのかも知れない。
それも、以前にはブランドブーム的なものがあり、こぞってそれらを取り込んだ訳だ。
そして経済不況が世の中を襲い、高級志向であるデパートを離れる動きが進んでしまったのだろう。

日本の志向でおかしいと思っているひとつに、背伸びをしてでもブランド品を欲しがることがある。
確かにブランド品は品質が良く、長持ちするので場合によっては格安である。しかし、日本の傾向はそんな感じではない。とにかく女性はルイ・ヴィトンの鞄を持つことで人並みと感じ、男性は高級車に無理しても乗る、そんな傾向がよく見られる。
生活自体は狭い所に住んで、粗末な生活を送っていても、外に出る時には見栄を張る人が意外と多い。

私が英国で感じたものに、そうした部分での日本との違いがある。
基本的にブランド品は、お金持ちや身分がある人が買うものであり、まず普通の人はブランド物を身につけない。
良くも悪くも昔の階級社会が今も社会の中に生きているのかも知れないが、何より、物事の真理を求めようとする社会的風潮だから、身分不相応に、見栄を張るために高級品で飾り、自身を誤魔化すことなど、恥ずべきことと解釈されるだろう。

ロンドンにフォートナム&メイソンというデパートがある。そう、紅茶やジャムで日本でも有名な、あの店だ。
以前に、そのデパートの中をウロウロしていると、英国在住で裕福な暮らしをしている知人に、たまたま出会った。
「ワイフが、出掛けたついでに鞄を買ってきてくれ、と言うので立ち寄ったんだよ」
と言い。
ガラスケースをガラガラと開けると、
「これとこれがいいかな」
と、ルイ・ヴィトンの鞄を2つ、鷲づかみに持ち。
「じゃあ、またね」
と、行ってしまった。
まるで買い物袋でも買うように。
氏は英国に移って永く、英国で会社を経営し、英国人の奥さんを持ち、感覚的には半ば英国人である。
“そうか、ブランドの鞄を買う層というのは、こういうことなんだ”
その時、いたく関心した。

と、まあ、この例は極端かも知れないが、日本の、あまりに身分不相応な姿とは対照的な出来事であった。しかし日本の社会では、そうした身分不相応な購買に批判することなく、むしろ、それに乗じてブランドショップを増やしてきた経緯がある、という話だ。

テレビのワイドショーでもデパートのブランドショップ化の流れに異議を唱えていた。そのワイドショーの司会者が「自分にデパートの経営をやらせてくれないかなぁ、昔のままのデパートにすれば上手くいくと思うんだけどなぁ」と言っていたが、確かに、そうかも知れない。

そごう心斎橋本店は、今後、隣の大丸が経営を引継ぐらしい。
でも、11階から上は、そのまま残してほしい・・・と、願う次第。

そごう正面JPEG.png

Profile

☆畑川 治 1947年生まれ
レースアドバイザー
趣味: 運転、旅行、鉄道、その他

このブログ記事について

このページは、Osamu Hatagawaが2009年8月31日 00:03に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「TOMIXに望むもの」です。

次のブログ記事は「コルクボードレイアウトの線路と電気系」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.01

Sponsor

ワンタッチテント イージーアップ

広告募集中
コンタクト