Essay/Column/Diary

衝動買い  メルクリン

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Type01_駅前_2JPEG.jpg

滅多に無いこと、と言うべきか、たまに有ること、と言うべきか、衝動買い。
何故そうした行動を取ったのか、その時の心境を後から冷静に思い起こしてみると・・・
などと言うと理屈っぽいが、今年になって、久々に衝動買いをしてしまった。
また鉄道模型の話だけどね。

思えば、これまでに鉄道模型は国内外の色々なメーカーのものを購入してきている。
しかし、逆に全く興味を持たなかったものにメルクリンがある。
というのもメルクリンは交流3線式(線路中央の第3線からも集電する)方式で、これまでの手持ちの模型は全て直流2線式、つまり左右の線路に+-の電気を流すものであり、同じ線路では走らせられない。
その電気方式の違いからメルクリンは別の世界のもの、という感覚があって、本来メルクリンは世界的に最も有名な鉄道模型メーカーであるにも関わらず、言わば避けて通ってきた。
京都に住む兄より、近くにメルクリンのSHOPが出来ている、一度見に行かないか、との話があり、今年に入り一緒に訪れた。無論、全く見るだけの予定で。
店内には大きなレイアウトかあって、いくつもの列車がサウンドを立てて走っている。そして蒸気機関車は煙を出し、あるいは自動運転等により2列車が交互に走ったりもしていた。
ショーウインドの製品を見ると、クオリティが以前よりも格段に向上しているのが見てとれた。そして値札を見るとデジタルサウンド付きの車両が格安な価格設定で驚いた。
その後、店の方からメルクリンの色々な説明を受け、その内容に感心していた。

スタートセットJPEG.jpg

そして、スタートセットが非常に格安な設定がされていた、それも私の好きなドイツ国鉄Type01蒸気機関車(オイル焚きだけど)の入ったセットが。
そして、「あと1セットだけ残っていたと思います」・・・これに弱い・・・
で、「それ、貰います」となってしまった。手持ちの現金が足りずに兄から借金をしてまで・・・嗚呼
でもね、日本のC62に当たるType01と客車が3両。そして写真右下の小判型の線路、つまり定尺サイズを越える大きさのエンドレスの線路に3個のポイントまで含まれている。
そして何より、デジタルコントローラー/電源セットが含まれて、いーですか!、何と59,600円、5万9千6百円ですよ。それに今回はもうひとつビデオデッキを付けて・・・とまでは流石にいかないが、この価格には全くの驚きだった。
一般的にDCCサウンド付きの蒸気機関車だけでも7万円前後するもの、コントローラーも数万円はするものだし、それに客車も線路も付いて・・・なんと言う破格。
とは言え、59,600円でも私の収入からは大きな負担なのだが、その価格と内容には「偉い!」と思ってしまい、財布の中身も確認せずに買ってしまった、という話である。

こう話すと、単純に衝動だけ買ったように聞こえるが、一応、自分の中では冷静に判断していた部分があって、それを思い起こしてみると。
■先ずはスタートセットのお得度
基本的にスタートセットは今後のリピートユーザーを獲得する為の大バーゲンであり、メルクリンに限らず、どこのメーカーでも格安の設定がされる。と理解しつつも、そのまま引きずり込まれて良いか否かの判断が必要で、その為には、メルクリンの商品構成、全体システムの把握等を要するが、諸々説明を受け、商品を見る限り納得出来るもの。まあ、あまり深入りする気もないし、手持ちアイテムのひとつとしていいんじゃないかと。
■全体のシステムとして、非常に良く出来ていることに感銘
車両から線路、コントローラーまで、ひとつのシステムとして開発されており、ニッチな趣味の製品ではなく、まるで電化製品のように実に良く出来たシステムである。
■新しい線路の出来の良さ、着脱性の良さ、精度の高さ、電気接続性能の高さ
Cゲージと呼ばれる新しい線路は、従来のメルクリンの線路に比べると見かけが実感的になり、3線目となる線路中央の端子の突起はあまり目立たない。

線路外しJPEG.jpg

それよりも線路の性能に注目すべきで、まず、組立て/分解の容易さは素晴らしく、レールジョイナー(線路同士を繋ぐジョイント)に差し込む必要もなく、合わせるだけで繋げられるし、分解時には折り曲げてやれば簡単に外れる。そして接続時の線路の繋ぎ目の精度が高く、金属によるレールジョイナーを持たないのにカーブの線路は綺麗な弧を描き、接続面ではレールの高さも揃っている。あまりの精度高さにカタンカタンというジョイント音すら出ないのが寂しいほど。

通電ジョイントJPEG.jpg

そして最も重要なのは接続部の通電システムが実にしっかりと作られていることだ。まず、これまでの殆どの線路では接続部(レールジョイナー部)は時間が経つと通電不良により電圧降下が発生する。メルクリンCゲージでは写真のように、大袈裟とも思えるほどの接続端子が裏に付いている。
■3線による集電性能の良さ、特にデジタルコントロールにおけるその重要性
見かけ上の3線のデメリット(購入したら、もう全く気にならないが)よりも、3線による車両の集電性能の高さが上回る。特にデジタルコントロールではデコーダーを通してモーターに電気を送る為か、集電不良に対して敏感に反応して動力が止まり易い。“シュッポ、シュッポ”と音を出して走っているだけに一瞬にして音が消えてドンと止まると、実感味があっただけに逆に一気にシラけてしまう。
3線式では両車輪で一方の電流、他方は真ん中のシューにより集電するが、シューは押しつけて擦って走るだけに集電性能が高く、車輪も左右と倍増するので集電能力は非常に高い。
■専用コントローラーによるメリット、デジタル車両の自動選択と、その操作の容易さ

コントローラー_1.JPG

普通、DCCでは運転をする前にコントローラーに車両を認識させてやる必要があり、例えば私のDD51では車両のデコーダーの設定を51としており、これを運転する時にはコントローラーのキーパッドのLOCOキーで“LOCO-数字の51-LOCO”と打ち込んでやるのだが、メルクリンでは工場出荷時に、その機関車がコントローラーに自動的に読まれる設定をしているので、早い話、機関車を線路に乗せればコントローラーはその機関車を自動認識して、すぐに運転出来るようになる。また、他の機関車を同時に乗せてもコントローラーは自動的にそちらも読み取るので、“LOCO-スピードダイヤルを回して液晶に表示される機関車の絵を選ぶ-LOCO”と、文章は長いが操作は至って簡単で、2秒程度で出来る。
これらのことはコントローラーも車両もメルクリン専用なので出来る技である。
写真では、アップにして頂くと液晶画面にBR 01と表示され、上に蒸気機関車の絵が示されているが、この状態でType01が選択されている。
■リバースの配線が不要、ポイントのギャップが不要
リバース(列車の向きを変える線路配置)は当然列車の向きが変わるので直流では+-の極性が変わることになり、その区間を電気的に独立させる為、両ギャップを切り(線路を切って通電させない)独立させて給電させてやる必要がある。また、2線式DCCでも両ギャップを切りリバース・モジュールなる装置を入れて極性の変化に対応する必要があるが、デジタル3線式では両線路と中央の端子からの集電方式なのでギャップを切る必要も無く、リバースで列車の向きが変わろうが何の問題も無く走ってしまう。
ということは、リバースだけでなく当然ポイントも同じでギャップを切る必要もなく、要するにフィーダー1箇所から電気を供給すれば、線路配置は電気の極性やギャップなど何も考えずに自由に線路を繋いで行けばよい。
■車両は全て360Rを回る

Yypeo1_360R.JPG

セットに付属の線路は360Rで、これならダイニングテーブルの上ですら組立可能。
このType01は当然のこと、何とビッグボーイまで360Rを回るという。店では動輪が5軸ある蒸気機関車が2軸/3軸で台枠が折れ曲る構造で、急カーブをスムーズに走っていたが、ロッドをどう処理したのか、など、実感的云々以前に技術的英知を称賛したい。
■車両の耐久性の高さ
模型は見るからに丈夫そうだが、私の場合、手先がさほど器用でもなく、また、雑な性格ゆえに模型の扱いも粗いので助かる。
また、その店で走り回っていた蒸気機関車も開店当初から走り続けており、何100キロも走っているとの由。そう、手に入れた車両は永年走らせて遊びたいのでタフなのは魅力的。
■割り切りの必要性
これらメルクリンの内容を見ると、要するにドイツで親が子供に買い与えるための鉄道模型であり、その為の要件を満たしたものと考えられる。
線路の簡単な着脱、狭い場所でも遊べる急カーブ、その急カーブも走る丈夫な車両、簡単に操作が出来るコントローラーなど。
模型の外観は日本的な見方で比較をすると、細密度などは劣るもので実感味に欠ける(フライシュマンやロコ等、ヨーロッパの標準的な模型とは殆ど遜色無くなった)。また、デジタルサウンドの音質も、ESU製のサウンドデコーダーなどと比べると実感味に欠けるものだ。
それらを含んで、遊ぶ模型として割り切ることが出来るか否か、ということだ。
無論、走らせて愉しむことが第一義の私には歓迎すべき製品と考える。

と、これらのことが頭の中で交錯し「価値と金額」のバランスを天秤にかけてみると、一気に価値側にカタンと動いた、ということだった訳だ。

いやー、それにしても長い衝動買いの弁解になってしまった。

スタートセット組立ダイニング上JPEG.jpg

上はダイニンクテーブル上に組み立てたスタートセット。コントローラーの向こうに黒く並んでいるのは直線線路で、全て使えば、かなり長い直線部がとれる。

Profile

☆畑川 治 1947年生まれ
レースアドバイザー
趣味: 運転、旅行、鉄道、その他

このブログ記事について

このページは、Osamu Hatagawaが2010年3月18日 22:09に書いたブログ記事です。

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