Essay/Column/Diary

粋そして人車一体 ABARTH 695 TRIBUTO FERRARI

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ポートレート_2.jpg

何と表現すれば良いのだろう、と、皆さんに話をする前に悩んでしまった。
先日、八光自動車でアバルトの新型車「アバルト695トリブート フェラーリ」の発表会があり、私は、その車のドライビング・インプレッションをトークショーで話す、ということで、テストドライブをして、実は大変気に入ってしまったのだが、そのことをどう表現すれば良いのか、言葉のむつかしさを感じていた。

リアスタイル.jpg

アバルト500をベースにアバルトとフェラーリで共同開発されたこの車、結構凄い内容で、アバルトの拘りが詰め込まれた感がある。
因みにスペックを簡単に説明すると、まずエンジンは元々アバルト500は1368ccDOHC16バルブ、インタークーラー付ターボで135psを発生していたが、ターボの変更(IHIからギャレット製に)やECUチューニング等チューニングアップされて180psを発生する。これは先日乗ったアバルト500エッセエッセの160psよりも20psアップしている。
ミッションは乾式単板クラッチ式のシーケンシャル5速で、電子制御式の2ペダルでありクラッチペダルを持たない。そしてシフトはパドルシフト(マニュアル)であるが、オートマモードもありギヤミッション車にも関わらずオートシフトされる。このあたりがデジタル制御の良さであり現代の車を感じる。

ホイール.jpg

足は、前がマクファーソンストラット、後ろがトーションビーム式で変わりないが、スプリングは当然固められ、そしてダンパーにはKONIが入った。
ブレーキは前が4ポットキャリパーとなり、それにドリルドベンチレーティッドディスクが入る。1120kgと軽量な車重には充分過ぎるほどのもので、これなら、いくらサーキットで攻め込んでも大丈夫だろう。
タイヤは205/40R17を履く。
という具合で、カタログ的にも興味津々の内容だが、まず、最初に私が試してみたいと思っていたのは、一般路、特に舗装の段差など不整路の乗り心地だった。
サーキットでの走行はエッセエッセで何ら問題なく快調に走れることは判っていたし、この695では、それを凌ぐはずだ。となると、サーキットをちゃんと走れるほど硬い設定の足で一般道を走れるのか、という疑問で、実は、このことは車の開発で大変むつかしい課題である。以前に、この八光自動車のアルファスポルトのスポーツサスの開発をした経験があるが、サーキットとオンロード共に走れるという条件は最も苦労した部分でもある。
で、走ってみると、確かに硬い、しかしどうだ、その硬さには角が無く、決してガンとは来ないのだ。
これなら少々の不整舗装も走れる、きっとKONIのショックが絶妙に働いているのだろう。
よって普段の道も問題なく走れる足に仕上っている。
オートマモードで走り出したのだが、途中からマニュアル/パドルシフトにしてみると、いとも簡単にシフトアップ/ダウンが出来るし、オートマモードよりタイムラグが無くて快適なので、以降は全てパドルでシフトをすることにした。
ワインディングに向かう途中、上り坂になるあたりからスポーツモードに入れる。
すると、途端にアクセルレスポンスも良くなりパワー感が出て、ハンドルの重さも、いい感じに増すと、「行くぜ!」という気分にさせられる。いや、ここでもデジタル制御の妙を知らされる。
ワインディングではフルパワーも試せるが、タービンが大きくなった分ターボラグがある。しかし、その後にターボが効くと強烈な加速感でエッセエッセと20ps差と思えぬパワー感がある。
コーナーでは足がしっかりしているので姿勢変化が少なく、そして小さな車だけにヨーモーメントの発生が素早い。つまり、一般的に出がちな大きなロールやアンダーに悩まされたりとか、ドタドタ走ることが無い。
当初、パドルシフトのレバーがハンドルと同時に動くので、ハンドルの切り足し時にはパドルを探すことになるのでは、と案じたが、ステアリングギア比が小さくレーシングカーに近い感じで、角のような小さなカーブ以外はハンドルから手を離さずに済み、そして指先でシフトのアップ/ダウンを瞬時に行える。
2ペダルの良さは、私の場合、左足ブレーキを使うので右はアクセル専用、そして、左でタイムラグ無しにブレーキを、時にはアクセルとブレーキを重ねるように使うことも出来、いわゆる最近のレーシングテクニックが使える。
こうして、両手はハンドルに添えたまま、両足はそれぞれのペダルということで操作系との連携もよく、何より車の動きや反応自体がダイレクトなので、レーシングカー同様に、体と車が一体となるような感覚を受ける。
これは楽しい!

そして、内外装に目をやると、そこここにアバルトらしい表現がされていて独特の雰囲気に浸れる。
それはカーボン製のシートやダッシュそれにドアミラーであったり、リアのアップスイープやスポイラー、オリジナル17inホイール、そして色々なアバルトのエンブレム類などなど。

エンブレム_5.jpg リクライニング.jpg

左はボディサイドのエンブレム。 右はリクライニングレバーで、こんなところにもサソリが・・・

ハンドル.jpg

写真は少しハンドルを切った状態で見苦しくて恐縮だが、いつも目の前にあるハンドルの上部には、白/赤/緑の帯(スクーデリア模様?)が巻かれていて、何と言うか・・・
とにかく、とても、いい感じなんだよな。


だから、こんな感じの「良さ」を言葉で表現するなど、とてもむつかしかったのである。
いわゆる、ビッグパワーのスーパーカーやGTカー、重量級のスポーツセダンなどとは明らかに趣の異なる、この気持ち良さを、である。

こうした志向の車が増えれば「車の愉しさ」が乗った人には確実に伝わり、近年言われる車離れが止まるのではないか、とさえ思わせる「アバルト695トリブート フェラーリ」であった。

下の写真は走り終え、久々に「余は満足じゃ」の図?

余は満足じゃ.jpg


Profile

☆畑川 治 1947年生まれ
レースアドバイザー
趣味: 運転、旅行、鉄道、その他

このブログ記事について

このページは、Osamu Hatagawaが2011年7月 6日 17:37に書いたブログ記事です。

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