Essay/Column/Diary

HORNBY と BACHMANN  その1

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Thompson リア.jpg

以前のコラムで、HORNBYやBACHMANNの車両に関しては改めて紹介する、と書いたが、まずは、その第1回。
改めて、鉄道模型を知る人にとって、HORNBY(ホーンビィ)と聞いて、どんなイメージを持つだろう?
きっと、オモチャ的で子供向けのメーカー、とか、出来の悪い模型、とか、イギリス型は興味を持てない、と感じられる方が多いのではないかと思う。
と言うのも、実は私がそうだったから。
昨年作ったHNモジュールを、イギリスの風景に決めて製作にかかり、そこでホーンビィのストラクチャーに初めて触れたのだが、その良さに感心し、同様に車両も非常に良いものであることに驚いたのだが、まさに“目から鱗が落ちる”思いをした。

Thompson 補機類パイピング.jpg

タイトル写真の蒸気機関車はThompson L1 Classだが、ご覧のように非常に綺麗な出来である。
英国型の蒸気機関車自体、ボイラー回りにパイピングが少なくアッサリした印象だが、よく見ると細かなディテールも良く作られているし、細い外付けの(プラスティックの一体成型ではない)パイピングも繊細である。
そして何より、塗装が素晴らしい。イギリスの蒸気機関車は綺麗な塗装を施しているが、この模型でもボイラーの白い2本線や、シリンダーや車輪の細い線に至るまで見事に再現されている。
この模型はDC、つまり直流のアナログ制御モデルだ。
動力性能は、大変静かでモーターやギアの音は殆ど聞こえないし、若干走行速度の不安定さは感じるが、基本的にスムーズに走る。最少通過曲線は450Rとされるが、我が家の356Rを問題無く走る。

Thompson キャブ内部.jpg

もうひとつの驚きはキャブ(運転台)内までしっかり作り込まれていることで、窓が小さくて中が殆ど見えない部分にもかかわらず、各種のパイピングは外付けで、しかもパイプの色までそれぞれ塗り分けられている。

Thompson _1.jpg

それにも増して驚いたのは価格である。
これほどの出来映えの、この美しい蒸気機関車が幾らか?
それは13,800円!でした。
Nゲージではなく、1/76のOOゲージの蒸気機関車が、ですぞ。

もうひとつ行こうか。
今度はCastle Classの蒸気機関車。
これはDCCサウンドを備える。因みにデコーダーは、やはりESU製だ。

Castle メイン駅前.jpg

この機関車は実際にプルマン客車を牽いていたもので、オリエント急行にも使われたプルマン客車の先頭が良く似合う。
DCCなので、客車のテーブルライトが点いているし、機関車からは音が出ているのだが聞かせられないのが残念だが、かなり良い音がする。英国の蒸気機関車の警笛は「フォーーーッ」というような、郷愁を誘うような、好ましいものだ。
因みに、走行中、急速にスロットルを戻すと絶気状態(惰行の意)を再現し、連続するシュッシュッ音は消えて、他の機械音だけが聞こえるのも実感的である。
あるいは、最近のESU製品の標準なのかな?
また、こちらも356Rのカーブを問題なくクリアして走る。

Castle シリンダー部.jpg

シリンダーが後方にズレた形状だが、その空いた部分の内側台枠あたりもキチンと作られている。
因みに、バルブギア(シリンダー内の弁を動かす為の装置)が外部に無いのは一寸寂しい印象だが、実はシリンダーの前方にあって、台枠内側に向けて機構が入って行っている。
ボイラーを取り巻く手摺りは細く、0.5mm径の金属線を使用している。
プラスティック製のモデルにもかかわらず、全体にシャープな出来映えの製品である。

Castle バードアイビュー.jpg

上から見る。
前方のデッキ部には、内側2つのシリンダーの前部と尻棒部が見える、無論ダミーだけど。
そう、この機関車は4気筒である。スピードを追求するヨーロッパでは珍しくは無い。
日本の蒸気機関車ではC53が3気筒を採用したが、メンテナンス性の悪さから発展することなく、結局2気筒の機関車ばかりとなった。
また、キャブ前あたりの、逆転ロッドやその付近のパイピングとジョイントなど、かなりの精密さを見せる。
写真をクリックして拡大してもらうと、理解頂けよう。

Castle テンダー前端.jpg

テンダー(石炭車)前端だが、こんな見えにくい部分もよく作り込まれている。
他も見ると、キャブ下部分やステップの造作、テンダーの台車や軸受け部など、肉眼では判らない部分まで、写真に写すとキチンと形成されていることが判る。
この上下の写真は、是非拡大して見て頂きたいし、それこそ2度クリックして最大に拡大することで、その異常なまでの細密さが見てとれよう。

Castle キャブ内部詳細.jpg

そして、キャブ内部だ。
各種のレバーを含めて運転席がキッチリ作られている。
パイピングや各レバーは立体的に作られ、それに、肉眼では見えないメーターの目盛/針に至るまで表現されている。
もう、ここまでやられると「ごめんなさい」するしかないほど。
いや、参ったね。
まるでライブスチームのモデル(蒸気で走る大型模型)のようだ。
あくまで1/76のスケールですぞ。
少し、目から鱗が落ちました?

という具合に、ホーンビィの製品、良く見ると実に良く出来たものだった。
それで、これほどのモデルが幾らで手に入るか?
OOゲージ、DCCサウンドの、この精密な模型が。
通常、DCCサウンドの蒸気機関車は5~7万円程度が標準的な金額であり、メーカーによってはDCCデコーダーだけでも25,000円程度もする。
しかし、この機関車、27,000円で買えた。
鉄道模型を知る者なら驚きの価格であろう。

おそらく、中国生産によるコストの低さ(近年、急激に人件費が向上していて心配だが)、そして近年の円高も作用しているのだろう。しかし、社名を出して恐縮だが、発売しているメディカル・アートの企業努力とサービス精神によるところも大きいと思われる。

また、英国に於ける鉄道模型の物価としての位置付けも垣間見える。
誰もが手に入れやすい位置に鉄道模型がある、という。
いわゆる、日本のNゲージが、製品の良さと価格的に安いこともあって大きく普及したように。
HornbyやBackmannの製品なら、殆どNゲージを買うような気持ちで、OOゲージが購入できるのである。無論、イギリス型が好きならばではあるが。

それにしても、この機関車、DCCでスムーズだし、実にいい音を出して走るんだよな。

Castle 斜め後ろから.jpg


Profile

☆畑川 治 1947年生まれ
レースアドバイザー
趣味: 運転、旅行、鉄道、その他

このブログ記事について

このページは、Osamu Hatagawaが2012年1月14日 16:43に書いたブログ記事です。

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