Essay/Column/Diary

もうひとつの「おもてなし」

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○展望台から.jpg

前回のコラムに続く「おもてなし」の話。
まずはこの写真、多くの方がご存知であろう黒部峡谷鉄道、いや、今は「黒部峡谷トロッコ電車」という優しく判りやすい名称にしている。
暑い夏には何とも涼を感じる観光鉄道である。

○宇奈月駅外観.jpg

宇奈月温泉を訪れたのは、このトロッコ列車に乗ることも目的のひとつで、黒部峡谷鉄道は宇奈月から出ている。
まずは宇奈月駅の立派な駅舎に感心する。
左のドイツ風の建物は黒部川電気記念館でダム建設の歴史や発電の仕組みなどが紹介されている。
駅との間、向こうに見えるのが温泉街だ。

○リラックス客車.jpg

宇奈月駅からの往路は小雨が降っていたこともあり、軟弱にも、この窓付き車両(リラックス客車)に乗った。
トロッコ鉄道という言葉からは地味でローカルなイメージを持っていたのだが、それは全く違っていた。
とても立派な駅があり、こうして全天候型の車両も用意されているし、加えて素晴らしかったのは女優の室井滋さんによる車内放送で、各名所に来る度に放送が入るのだが、楽しく明瞭で、とても判りやすい。流石はプロのナレーターでもあり、車内放送が入るのが楽しみさえなった。

○ランドワッサー.jpg

黒薙(くろなぎ)駅を出発する列車。
駅を出るとカーブして黒薙川を跨ぐ後曳橋を渡る。そして切り立った山のトンネルに向かうが、その勇壮な景色は、まるでスイスのレーティッシュ鉄道で有名なランドワッサー橋に似ている。

○車窓の景色_2.jpg

列車は黒部川の渓谷沿いに、こうした感激するような素晴らしい景色を見ながら進んでいく。
前述のように、この日は小雨模様で本来コバルトブルーと言われる黒部川の水は少し濁っていたが、一方では、低く垂れ込める雲が幻想的な風景を見せてくれた。

終点の欅平(けやきだいら)まで行くと帰りの時間が足り無くなるので、手前の鐘釣(かねつり)駅で降りて引き返すことにした。
鐘釣には黒部万年雪展望台がある。山に来たので、せめて雪でも見て帰ろう、という算段だ。

○万年雪.jpg

写真の中央部分が万年雪で氷河のように遥か上から川まで続くのだが、表面が黒く汚れてしまっているので雪と判りづらい、ほのかに湯気をあげていた。
「見たぞ、夏の雪を」・・・と帰路についた。

○トロッコ車内から.jpg

帰りは窓の無いオープン型の車両(普通客車)に乗った。
やはりトロッコ列車はこれじゃないと。
山の空気にたっぷりと触れ、そしてトンネル内の冷気にあたり、何とも爽快な感覚を味わった。

○係員.jpg

列車は本数が多いので駅では何本かの対向列車と行き交った。
その時、ふと気付いたのだが、対向列車の乗客の方と自然に手を振り合っていた。
というのも、宇奈月駅から出発する時、何人もの駅員の方が手を振って見送ってくれた。そう、飛行機の出発の時に地上係員の方が手を振って見送ってくれるように。
ただ、この黒部峡谷鉄道では途中の駅でも必ず駅員の方々が笑顔で手を振ってくれるので、お返しに、こちらも手を振ることが自然となっていたようだ。

流石に、関西電力という大きな会社の傘下の黒部峡谷鉄道であり、社員教育もキッチリしていて、どこの駅でも対応は素晴らしく、観光鉄道の何たるかを実践されている。
ダムの建設という、本来大変な事業をされたシリアスな場所なのではあるが、その建設に使った路線を観光列車として、こうして完璧に運営されることも素晴らしく、感動的ですらある。
何よりも、笑顔で手を振って頂くと、サービスを越えて何とも心が温まる思いがした。
きっと対向列車の乗客の方もそうしたことから、自然と手を振ってくれていたのだろう。
これはトロッコ列車の「おもてなし」と言えるだろうな。

Profile

☆畑川 治 1947年生まれ
レースアドバイザー
趣味: 運転、旅行、鉄道、その他

このブログ記事について

このページは、Osamu Hatagawaが2014年7月27日 10:15に書いたブログ記事です。

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