Essay/Column/Diary

衝撃 !! マクラーレン 650S

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○2コーナー.jpg

鈴鹿サーキット。ピットロード出口の速度制限の切れるラインを越えると1速のままスロットルを全開にした。
“ガンッ”という蹴り出しの衝撃と共にタイヤはグリップを失い、一瞬リアが横に振れるが、すぐに車は自ら直進性を取り戻し、私はこれまでに味わったことの無い強烈な加速で1コーナーに向かった。
マクラーレン650Sは、そんな衝撃的な体験から始まった。

○講習中.jpg

その日、マクラーレン・正規ディーラーである八光カーグループによるイベント「Track day in Suzuka」が開催され、私はインストラクターとして参加させて頂いていた。
私に用意して頂いたのはオレンジ色のMcLaren650Sだった。
ごくごく簡単に要点のみスペックを紹介すると、
・カーボンファイバー モノコックセル 乾燥重量1330kg
・90度V8 3.8Lツインターボエンジン 650ps/7250rpm ドライサンプ ミッドシップ
・7速デュアルクラッチ・トランスミッション
・最高速333km/h  0~100 km/h : 3秒
・ABS、トラクションコントロール、またローンチコントロールまで備えている

要するに高性能と共に最新の電子制御が備わっていることになる。
その他詳細は八光カーグループのHPからご覧頂きたい。
http://www.hakko-group.co.jp/

□マクラーレン_オレンジ.jpg

その日の朝、ピットでMcLaren650Sと初対面をする。
以前からマクラーレンのバランスのとれたデザインは好むところだったが、650Sはより精悍な顔立ちになり、明らかにエアロダイナミクスが進歩している(特にダウンフォースが増えた)形が見て取れた。
リアにはウイングが備わっている、可動式でブレーキング時には起き上がるらしい。
タイヤはピレリの”Pゼロ・コルサ“を履く。ホイールの中にはドリルドされたカーボン・セラミックのフローティング方式のブレーキローターと、巨大なキャリパー(フロント6ポッド、リア4ポッド)は、それこそ見ただけでも安心感が伝わってくる。
ん、オレンジ色? 
そう言えば昔、ブルース・マクラーレンとデニス・フルムがF1やCAN-AMレースを席巻していた頃のマクラーレンは、こんなオレンジ色だったな、などと思い浮かべる。
あ、それに、今年のマクラーレンF1はオレンジ色になるらしい。

□マクラーレン リアビュー.jpg □マクラーレン_コックピット.jpg

斜め上に開くドアを開けて乗り込む。
やはりコックピットに収まる印象があり、ポジションもサーキットドライビングとしてシックリくる。
スエード表皮のシートは気持ち良く、何よりもホールド性が高い。
装飾を嫌ったような内装は「さあこれから走るぞ」と言わんばかりのイントロを感じさせる。
走行モードをサーキット用のTrack-Trackにセットする。
素晴らしいエンジン音は、ついブリッピングしてしまう。
そして冒頭のごとくコースインしたのだが、その衝撃的だった加速感はノーマル・アスピレーションのエンジンと思ったほどアクセルに対して反応が早く、ツインターボによる加圧はタイムラグが無いようにパワーを発揮する。
また1速以降の加速では、パドルシフトにより無論アクセルを戻す必要もなく、且つシームレス。つまりシフトアップが瞬間に行われる為に加速が途切れることが無い、何とも気持ち良い加速感が味わえる。

○デグナー立ち上り.jpg
(この日はオレンジ色の参加者の方が多かった)
その後、ヘアピンの立ち上がりで、2速ギアで強く踏み込んでみたが、ほぼ1速同様に想像以上の強烈な加速反応があり一瞬リアが振れる。おそらく678Nmという大きなトルクが有効に働くのだろう。 ただ有難いのは瞬発的にトラクションコントロールが効くので、一瞬リアが振れてもすぐに直進性を取り戻し、車は綺麗に立ち上がって行ってしまう。

ヘアピンからスプーンカーブまでは松ちゃんコーナーと呼ぶ緩い右カーブが続くが、ヘアピンからの加速が強く、全開のままでは速度が上り過ぎてタイヤグリップの限界を越えそうなのでスロットルを少し緩めて走った。
多分、限界を越えるとトラクションコントロールが働き、安全にコントロールしてくれるはずなのだが、流石に200km/hを軽くオーバーしての高速域なので試す気にはなれなかった。

○ヘアピン入口.jpg

複合のスプーンカーブは、一つ目は進入型、二つ目は立ち上がり重視のコーナーだが、マクラーレン650Sはターンインからのステアリングの反応も良く、種類の異なる何れのコーナーも安定した姿勢で走り抜ける。
操縦性は基本的に安全を見越して弱アンダーのセッティングがされているようだ。
裏ストレートでは130Rの手前で250km/hを越えていたが、高速コーナーへの進入に備えて最高速まではメーターを見ていられない。
シケインのフルブレーキなどでグンと安定感が増すのはリアウイングが起きてダウンフォースが増し、エアーブレーキも効くからだろう。

○ピットイン.jpg

こうして、つい車のことを忘れて運転に集中してしまったのだが、逆に運転に集中させてくれる車だとも言えよう。
この日、何人もの方を乗せてレーシングTAXI走行を行ったが、当然ながらブレーキがヒートしたり、効きが落ちたりすることは皆無だった。
サーキットドライビングの感覚は、かなりレーシングカーに近く、所謂ロードカーでサーキットを走る時の不満や不安感は殆ど無い。
一方、レーシングカーより良いのは、路面からの突き上げやキックバックが抑えられ、そしてトラクションコントロールやABS、その他の電子制御により車自身が限界域でのコントロールをしてくれることで、こうした超高性能の車を多くの人がスポーツドライビングを楽しめるように出来ていることだ。

これまで乗った多くのスポーツカーが、ロードカーから進歩して高性能化したのに対し、
マクラーレン650Sはレーシングカーがルーツにあり、そこからロードに移行してきたことを強く感じさせる車であった。

○ピットロード出口.jpg

Profile

☆畑川 治 1947年生まれ
レースアドバイザー
趣味: 運転、旅行、鉄道、その他

このブログ記事について

このページは、Osamu Hatagawaが2017年2月18日 13:59に書いたブログ記事です。

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